父と娘のヨーロッパ貧乏旅行記 20 アルル2日目 闘牛場を描く
20.1985年9月30日 (月)晴れ
朝食の時、他にも客が5名いた。10:30がチェックアウトなので、ローヌ川風景を窓から描いた。晩秋の太陽が淡く澄んでいた。川の中に,コンクリートの残された橋げたが,この地の歴史を語り,川岸を歩く点景の人がのどけさを与えてくれた、
昨夜の宿は二つ星で高価なので、麻美が前回来たときの宿が取れていたので,広場に近い宿に引っ越しした。
昨夜外食に出たときに見つけておいた闘牛場の外壁を描くことにした。F6号に取り組んだ。
今日一日はこれに決めた。外壁をぐるっと回った。日陰を見つけた。石造りの重量感にてこずり,色がぱっとしなかった。
今日の宿は女将が経営していて,落ち着いたホテルだった。
【追記】
スイスジュネーブ湖を起点とするローヌ側は,アルルで大ローヌと小ローヌに分岐して地中海に注ぐ。
前回アルルに来たときはミストラルが吹き荒れていて,川沿いを散歩する人影は見られなかった。今回は穏やかなローヌ川だ。ここアルルは老人が多い。
駅前広場で前回来たときとそっくりにペタンクに興じている老人たちがいた。あの時と同じ人かもしれない。同じように声かけられ,ベンチで話し込み、駅前スーパーで何とかという野菜を買えばおいしいよとしきりに言われた。
アルルには数日滞在するので,お気に入りホテルに落ち着くことができて良かった。ローヌ川沿いの教会を見て、父は「油絵はヨーロッパの景色を描くのに適してるのだな」と語っていた。スペインの黄土とは違った、街全体が色を抑えた石造り景色はどこを見ても絵になる。今日は一日闘牛場を描くと言いキャンパスを広げた。通行人に取り囲まれたりしながら描いていた。画面をのぞき込んで「うまいね」と言って行く人もいた。カフェのテラスでサンドイッチとコーヒーの昼食を済ませ、グレープフルーツジュースを頼んだ。皮ごと絞られていたのか,苦くて飲めなかった。




