第11話 プラド美術館、ゲルニカを観る
1985年 9月21日(土)晴れ
疲れで朝8時頃まで二人とも寝入った。若者の遊び歩く喧噪が響く、賑やかな一夜であった。
朝のうち近くの北駅まで24日に発つ切符を買いに出た。その足で駅の近くのプラド美術館に行く。14.5世紀からの作品が並び、ヴェラスケス、ゴヤ、グレコ、ブリューゲルなど。特にゴヤに激烈な印象を受けた。ピカソのゲルニカを見るために周辺を歩き回った。プラド美術館の裏に姉妹館があり、少し離れて21世紀美術館と呼ばれるものがあった。
ゲルニカを一室に一点のみ展示し、他の一室にはゲルニカのエスキースが多く展示された、二室で展示されている美術館である。実物を目の前でじっと見ることができた。
ゲルニカは灰色の階調が微妙に変化され美しい色彩のハーモニーが感じられた。カメラは禁止されていた。


疲れていたが、明日は日曜で店が戸締めのため、二人で買い物に出る。24日にはスペイン最南端に発つので汽車の中の分まで買い込んだ。
麻美は銭が不足したと言ってマドリード駅まで地下鉄で両替に走った。
夜はマヨール広場へ外食に出る。フラメンコを予定していたが、地図であたったりしたがなかなか見つからなかった。広場の向こう隅の通りに出たところにそれらしきところが見つかるが、腕に入れ墨をした男がたむろしていて、麻美は恐ろしがって入らなかった。後日ということにして宿に帰って10時過ぎに床につく。
【娘の回想】
スーパーで買い出しした。レジに並ぶと、2台のレジの店員が大声でおしゃべりしていて、その間は精算がストップしている。大きな声で大笑いしながらスペイン語でまくし立てていた。話の内容は、わからなかった。客は皆、だれも何も言わず、ただそのおしゃべりが終わり仕事が再開するのを静かにじっと待っていた。
どうやらこれは日常の風景らしい。買ったものはドサドサと籠に投げるように入れていた。これも通常のこと。


