病床の父を励まそうと当時母が営んでいた雑貨屋を改装しギャラリー輝を作りました。2004年のことです。父は久しぶりに倉庫から出した絵に指をかざし、「いい絵だな」と言ったものです。体調が良い日は来館があると進んで絵の前に立っていました。急ごしらえだったこともあり、天井高が足りず「馬上の人」が展示できませんでした。父はその後作品を私達に託し2005年に他界しました。それから15年も経ってしまいました。その間作品は倉庫に眠り続けていました。2019年の台風により作品の一部が被害を受けてしまいました。慌てて作品をレスキューしながら,倉庫内の作品を整理しました。その1枚1枚を手に取る度に、「これを外に出して欲しい」と父の声が聞こえてくるのでした。そうして憑かれるようにギャラリー輝をリニューアルしました。美術館とは名ばかりの実にちっぽけな展示館です。なんとか「馬上の人」がギリギリ展示できます。
 作家や作品の解釈は途上です。遺された作品や資料をめくる度新しい発見がありますので、随時展示で紹介してまいります。倉庫で眠っていた作品に対峙する度、絵は人に見てもらって初めて完成するとの思いが一層強くなりました。倉庫で次はオレだと足踏みして待っている作品達。彼らを順次紹介してまいります。
 画集のページをめくるように、来る度に新しい感動がある。そんなギャラリー輝を目指しております。
 池田輝との出会いの館として,別所温泉の地で細々と運営してまいります。急な閉館もあることでしょう。土日以外で開いていることもあるでしょう。どうぞ気長にお付き合い下さい。

池田輝プロフィール

1932年小県郡神川村生まれ(現上田市)
父は初代中村實、叔父は中村直人
1948年 16歳岡鹿之助指導による洋画研究会「鹿苑会」(上田市)に入会
1951年 19歳長野県展入選
1956年 24歳信州大学教育学部美術科修了 小学校教員となる
1958年 26歳結婚 上田市別所温泉に居を移す
中学校教員となる
1959年 27歳春陽会第36回展「ガスタンクのある風景」初入選
1960年 28歳第13回長野県展教育委員会賞受賞
1968年 36歳春陽展第45回展「曲馬」、「遇話」研究賞受賞
1969年 37歳第22回長野県展SBC賞受賞「サーカス2」
1971年 39歳春陽展48回展準会員推挙 「芸人の対話」
1973年 41歳春陽会第50回展「奏でる」朝日ジャーナルVol.15表紙掲載
1974年 42歳春陽展第51回展 「一人」、「二人」会員推挙
1975年 43歳「三人」安井賞候補展出品 朝日ジャーナルVol.17表紙掲載
1976年 44歳高校総体招致による現代信州代表作家展 山本鼎記念館
1977年45歳春陽会四人展 上田西武
1983年 51歳春陽展第60回記念展賞受賞 「仮面と二人」
1985年 53歳中学校教員退職
今日の作家展 辰野町郷土美術館
現代の作家展 信濃美術館
長女とヨーロパスケッチ旅行 この後度々ヨーロッパを
中心に、友人とスケッチ旅行に出かける
1986年 54歳上田女子短期大学講師
1995年 63歳個展開催 まどい画廊(佐久市)
春陽会会員8人展 ギャラリー82
1996年 64歳池田輝展 青木村郷土美術館
2001年 69歳脳梗塞に倒れる
2002年 70歳上田女子短期大学退職
2004年 72歳ギャラリー輝オープン
2005年 73歳企画展「色の詩人-池田輝の世界」
おぶせミュージアム・中島千波館
 9月8日永眠 享年74歳
2007年 画集「色の詩人-池田輝の世界」刊行
 「色の詩人-池田輝回顧展」上田創造館
2021年 ギャラリー輝リニューアルオープン

ドキュメンタリー「限りある命を限りなき画道に向けて 洋画家 池田輝」UCV作成

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https://youtu.be/Q1F2xWk5FK8

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https://youtu.be/7WaFMOMHqgo